母親が育児不安におそわれるのはナゼ?

 育児中の不安や孤独感はなぜ起きるのでしょうか。内閣府の子育てに関する意識調査によると、子育てで孤立を感じている母親は全体の7割にものぼるという結果が出ました。現代は核家族が多く、家族内外の交流が疎になっているという社会的背景が育児中の孤独感を増幅させていると考えられます。
 育児中に不安や孤独を感じる原因はエストロゲンという女性ホルモンのバランスに関係することが解明されてきました。母親は妊娠中にエストロゲンの分泌量が増加します。それが子供を産むと急激に減少することにより、脳内神経物質の働きが弱まって不安や孤独を感じやすくなります。人類の進化の過程でこのような機能を獲得したのには理由があったのです。人類に最も近く、その起源と言われるチンパンジーは、出産後5年間一人の子供に付きっきりで子育てをします。一方で、人類は毎年でも子供を産み、同時に多数の子供を育てることができます。そのような育児スタイルを可能にしたのが、他の人と協力して子育てをするという戦略だったのです。この戦略をとったことにより、人類は子孫を増やし、瞬く間に全世界で繁栄することができました。周囲と協力して子育てをする、これは今も我々の本能の中に生きており、産後の母親たちを一人にしないためにホルモンが孤独感を生み出す理由なのです。そして、核家族化が進む現代、その孤独感を解消しようにも協力の手はなかなか差し伸べられないのが現実です。
 このような理由から、育児不安を感じてしまうのは仕方のないこと、そう考えるだけでも救われるお母さんは多いことでしょう。さらにその不安を最小限に抑えるとしたら、こんな対策が有効です。

  1. 悩みを共有できる人の存在
    母親になりたての人が子育ての悩みを抱え込むと、産後うつ状態になる危険性があります。ママ友などに相談することで、気持ちが楽になることもあります。
  2. 第三者に子供を預けてリフレッシュ
    日本では第三者に子供を預けると罪悪感を感じてしまうお母さんが多いです。ベビーシッターやファミリーサポートなどを活用し、お母さんがリフレッシュすることで、結果的にさらに子供に愛情を注いであげることができます。
  3. 最終的には父親のサポートが必要
    お母さんの一番近くにいるのはお父さんです。仕事で帰りが遅くなるのであれば、週末などに時間をとってお母さんの話を受容的に聞いてあげるだけでも、お母さんのストレスは減少するそうです。大切なのは、アドバイスばかりするのではなく、受容的であることです。
参考:

・NHKスペシャル ママたちが非常事態!?最新科学で迫るニッポンの子育て
・内閣府HP

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