子どもはみんな問題児。

 今回は絵本「ぐりとぐら」の作者である中川李枝子さんの書籍「子どもはみんな問題児。」をご紹介します。この本では、母親という仕事の素晴らしさや子供の子供らしくいることの大切さが温かい言葉でつづられています。
 「問題児」という言葉に表されているように、子供はみんな少なからず手がかかるものです。とにかくやんちゃで元気に動き回るのも、好奇心旺盛でずっと昆虫を観察しているのも、全てその子の素晴らしい個性です。周囲を巻き込みながら個性を発揮するので、他人に迷惑をかけてしまうこともありますが、それはある程度仕方のないことと理解し、親も社会も温かく子供たちを見守ろうというのが、中川さんの趣旨です。
 著名な児童精神科医に佐々木正美先生という方がおられますが、「社会は人間の力で成り立っているのですから、人を頼り、人に頼られ、人の間にいて人になるのだ。」と言われています。この言葉はすなわち、迷惑を掛け合ってこそ人間は育つという意味なのです。迷惑を掛けない、問題を起こさないことが必ずしも子供にとって良いことなのではありません。子供は子供同士のコミュニティの中で迷惑を掛け合い、問題を起こしながら自然と学習していきます。しかし、そこで保護者が他人の子供と比較してしまったり、心配しすぎてその子の個性を否定したりしてしまったら、自分はだめな子なのだと自己肯定感を育めずに、心に深い傷を負ったまま大人になってしまうかもしれません。
 子供は学校など慣れない社会の中で、自分の個性そのままに生きています。周りの子供もありのままで過ごしていますので、子供同士で意見が食い違って一歩も譲らないことや、ときにはけんかしてしまうこともあります。そういったときに駆け込めるプラットホームがお母さんなのです。お母さん自身も忙しかったり疲れていたりして難しいこともありますが、戦いに疲れて帰ってきた子供を温かく迎え入れ、子供の言い分に耳を傾けてあげる、といった態度でなるべく子供には接したいものです。本著の中で中川さんは、母親は子供の将来を担う最前線の尊い仕事だとも言っています。英語教育の場でも、初めて英語にふれることは子供にとっては大きな挑戦です。あまり習得を急いだりプレッシャーを掛けたりせず、着実に英語を吸収していく姿を見守ってあげると良いのではないでしょうか。 
参考:「子どもはみんな問題児。」新潮社/中川李枝子著
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