今回は書籍「生きる力をつけるドイツ流子育てのすすめ」より、ドイツの子育て事情をご紹介します。
- 小学校4年生で自分の進路を決める
ドイツでは小学校4年生が終わる頃に将来の選択をしなければなりません。5年生からは大学を目指す道に進むのか、専門性を身につけて卒業後にすぐに就職を目指す道に進むのかを、子供が主体的になって選択します。ただし、ドイツの学校システムは非常にフレキシブルにできており、後になって変更することが可能です。自分の進路を早期に選択することのメリットとしては、語学を習得しやすいことが挙げられます。語学系の専門を選択すると、すぐに英語やラテン語などを学び始めることができます。これは大学に入ってから新しい言語を学び始めるのに比べて断然有利です。語学以外の分野でも、早期に子供自身が選択した専門性を学ぶことは効果的だと考えられます。 - 個々のペースに合わせた教育
ドイツでは小学校でも落第することは稀ではありません。日本では落第すると周りに置いていかれないか心配してしまいますが、ドイツでは落第は必ずしも悪いことと考えられていないようです。日本のように短期間で知識を詰め込むのではなく、ドイツの教育システムでは習熟度の異なる子供個々に合わせたスピードでじっくりと時間をかけて学ぶことができるのです。 - 集団よりも個人を尊重する
日本では他の人と協調することが良しとされていますが、ドイツでは自立した大人を育成する教育を実施しており、集団よりも個の意見を大事にします。自分の意見を発言することにより、周りに流されることなく自立した大人に育つことができると考えられているのです。またドイツでは、しつけはすべて親の責任で、学校は勉強のみを教えるのが常識とされています。学校がしつけまで教えようとすると、先生がカバーしきれず勉強がおろそかになってしまうと考えられているからです。したがって、学校の先生が髪型やお行儀などに関して注意することはないそうです。組織を大事にする日本流と個人を尊重するドイツ流、どちらにもメリットはありますが、国際社会で生きていくためには自分の意見をしっかりと相手に伝えることが大切です。
参考:
「生きる力をつけるドイツ流子育てのすすめ」PHP研究所/サンドラ・ヘフェリン著