オランダの子育てに学ぶ

 今回はオランダで開発された幼児教育「ピラミッド・メソッド」をご紹介します。ピラミッド・メソッドとは自主性を伸ばすことを重要視した教育方法で、保育者は下記の2つを心がけています。
  1. 「離れること (Distance)」
    目の前のこと以外の事柄に目を向けさせることで、子供に抽象的な概念を身につけさせ、表現能力を伸ばすことを促します。例えば、「水」をテーマとした場合、水の中の生物や水道水はどうやって作られたかなどを話し合うことで、表現できる幅を広げます。
  2. 「寄り添うこと (Nearness)」
    子供が安心感を持って遊べるように、保育者が子供の声にしっかりと耳を傾けて子供との信頼関係を築きます。子供から信頼されているので、遊び方やルールを教えることができ、そのルールは子供たちに安心感を与えます。
 日本の集団保育では、全員に一斉に教えようとするため、保育者の指示語が多くなりがちです。そのため、日本の保育では子供の自主性を伸ばすことが難しいと言われています。一方で、オランダの幼稚園や保育園では全員が同じことをして遊びません。保育者が子供一人一人に向き合い、どんな遊びをするか決めます。そのため、異年齢で同じ遊びをすることもありますし、時には一人で遊ぶこともあります。ここで重要なのは、保育者は「一つの遊びが終わったら片付ける」などの基本的なルールや遊び方は教えますが、あとは基本的に子供たちに決めさせるということです。保育者は子供たちの決めたことをサポートするという立場なのです。
 オランダの自主性を大事にする考え方は、幼稚園のお遊戯会によく表れています。オランダでは、希望者のみのオーディション形式で出演者を決めます。日本では、嫌がる子供や能力的についていけない子供がいても何らかの出番やセリフを与えて全員出演させますが、オランダではそうではないようです。オーディションで出演者を決めているくらいですから、子供たちはやる気満々で、先生の指導にも自然と力が入ります。また、このお遊戯会がおもしろいことはよく知られているので、保護者でない人もイベントを見に来て、大いに盛り上がります。ただひとつ疑問が残るのは、やる気のない子はどうなるのかということですが。
 日本では社会の変化に伴い、以前にも増して「自分の意見を自分の言葉で堂々と伝えること」が大切になっています。そのためには、子供の自主性を養いたいところですが、オランダのやり方をすぐに日本の幼稚園や保育園で実践することは困難でしょう。まずは各々のご家庭から、子供の自主性を育み、やる気を引き出す環境を整えていきたいものです。
参考資料: 
「ベストキンダーガーデン」オクターブ社/辻井 正 著
最新情報をチェックしよう!