フィンランドの子育てに学ぶ

 今回は社会福祉大国フィンランドの子育て事情をご紹介します。
 まず、フィンランドの育児の根底にある考えは、その国の社会全体が子育てを担っているということです。したがって、子供に何か問題があるとしたら、それは親だけの責任ではなく社会全体の責任であると考えます。こういった考え方がベースとなっているため、子育てを支援する制度が非常に充実しており、フィンランドは子供もその家族も安心して過ごせる社会を目指しているのです。
 日本の子育てと決定的に異なる点、それはフィンランドでは父親の子育て参加率が非常に高いということです。日本と同様、共働きの家庭はたくさんありますが、父親も育児に関われるように法律の整備がなされていますし、そのような社会全体の意識があるのです。
  1. 出産休業制度
    基本的に母親が105日、父親も18日〜30日有給で休みを取ることができます。父親の休暇分については、父親としての子育てへの意識を高められるように、母親が代わりに取ることはできません。また、職場でも出産休業を取ることが当然とされているので、安心して休むことができます。家庭のことを気にしながら働くよりも効率が良くなると、職場の上司も理解しているのです。
  2. 親休業制度
    158日間有効で、両親のうちどちらが取っても良いとされていますが、80%を超える父親がこれを取得しています。一方で、日本では育児休業を取る父親の割合は2%を切っています。会社を休んでしまうと回らないような仕事量を一人で抱え込んでしまうのもそうですが、男性が育児休業を取ると周囲の目が気になる、昇進に差がつくのではないか、そういった懸念が背景にあるのではないでしょうか。少しずつ育児休業を取る父親は増えていますが、まだそれを実感できるレベルには達していないのが現状です。日本では2014年から育児休業取得を促進する取り組みが行われていますが、これが社会全体に浸透していくまでにはかなりの時間を要するでしょう。日本では長らく続いた終身雇用制度が終焉を迎えつつあります。社会が持つ父親の育児に対する意識も、それと同時に変わっていくことでしょう。
 フィンランドには子育て世帯を助ける制度が他にもあります。たとえばネウボラと呼ばれる施設は出産から育児までのあらゆる悩みを聞いてくれる相談所のことで、各地に点在しています。日本にも同様の制度はありますが、フィンランドの場合は子供の定期健診、予防接種、歯科健診、子育てに関する悩み相談に至るまで全て無料で行われています。また、小学校から大学までの教育が無償で提供されていたり、利用しやすい価格でスポーツ・文化施設が開放されたりしているため、税金が有効に活用されているという面で国民からの信頼度が高いのです。国の財政施策こそすぐには日本では真似できないでしょうが、子供の誕生や成長を社会全体が歓迎する、見守る、そして担うという考え方は見習いたいものです。
フィンランド デンマーク ノルウェー スウェーデン 日本
教育における公的支出の割合[%] 98.3 97.2 96.1 96.7 70.1
参考資料:
1.「子どもと家族にやさしい社会フィンランド」明石書店/渡辺久子、トゥーラ・タンミネン、高橋睦子 編著
2. OECD Education at a Glance 2015
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